ドイツの美大生にインタビュー ~コミュニケーションデザイン~

ではまたインタビューの続きです。

M:合格後は、入学前までどう過ごしましたか

Y:国民保険健康に入ったり、あとはマダガスカルにもいきました。それをきっかけに描いた絶滅危惧種の動物をテーマにしたコミックの展示会を日本で開いたりしました。日独協会に展示会のお知らせもしました。

展示の様子

M:入学前に大学の雰囲気を感じられるような機会はありますか。

Y:7月にあるJahresausstellung(学生展示)があります。学生の作品も見られますし、そこでBeratungもあるので在校生やチューターからMappeについてアドバイスをもらえたりもしますよ。

Jahresausstellungの様子

M:授業はどんなことをするのですか。

Y:まず一年生の時は本当にいろんなコースがありました。(マテリアル、プロセスとかタイポグラフィーなど、多すぎて全ては言えないくらいらしいです。)

デザイン学部の生徒100人くらいが4つのグループに分かれて、毎週いろんな課題に取り組みます。それを二週間やったあとは、次の一週間をそれぞれの学部に分かれて専門的な勉強をするという一年でした。

自分を知る一年

M:一年生の時に他の学部の人と関われるのはいいですよね。

Y:そう、自分とは違う分野の子の意見やレビューは刺激になったし、作品の幅も広がったように感じますね。

また自分の学部以外の教授とも関わりができたので、これからも自分の苦手分野のこととか気軽に相談に行けます。

M:めちゃくちゃ良いな〜

Y:この一年、色んなことを体験できたので『自分が苦手なこと』『興味があること』『得意なこと』に気づけました

これをきっかけに転科した人もいます。

M:え!?そんな簡単に転科できるもんなんですか!

Y:はい、転科するためにMappeを教授に見せたりはありますが、基本私の大学はそういうところはフレキシブルですね。

M:なんだか学生には夢のようなシステムだな。2年目の今年の授業内容も興味あります!

Y:今年からコミュニケーションデザインの授業が増えて、二週間は専攻学部の勉強、一週間は自由に取りたい授業を選んで参加するというルーティーンです。

この一週間は本当にいろんなコースがあって、デザインの学生がアートのクラスを取ったりもできるし、逆もありです。

月曜日に課題が発表されて、金曜日までに完成させプレゼンをする流れです。5日間時間はありますが、それなりのクオリティーが求められるのでみんな毎日一生懸命やってます☺️

M:例えばどんなコースがあるのですか。

Y:オランダから来た教授のもとでポップアップを学んだりもしました。マルチメディアやモードの学生もいました。

様々な学部の人と同じ課題に取り組むので、また新しい風を自分の中に取り入れられます。

M:コミュニケーションデザインではどんなクラスがあるのですか。

Y:タイポグラフィー、インフォメーションデザイン(ピクトグラムとか、身の回りに氾濫している情報をアーティスティックに視覚化するデザイン)写真、エディトリアルデザイン(編集の授業、タイポグラフィーの教授が兼任)カリグラフィー、イラストレーションなどです。絵本の授業もあります。

M:絵本良いですね〜。座学などはありますか。

Y:二年生では哲学やデザイン論の講義が必修です。

みんな結構集中して聞いていて、積極的に質問したりディスカッションが起こったりします。規模は50人から80人くらいなんですけど、みんな臆せず発言していきますね。

座学になると教授の話は半分以上わからなかったりするけれど..。ドイツ人と授業を聞いて同じ試験を受けて点数を取るのは難しいです。とはいえ、必修なので教授に相談してHausarbeit(レポートとか)を提出して単位を取っています。

M:分かります、教授の話を聞き流すことに慣れてはいけまいと思ってはいるんですが…..

Auf Augenhöhe

M:クラスメートや大学の雰囲気は。

Y:学生の中には、若い子だけでなく、もうすでにデザイン学部を卒業していたり仕事経験のある人も多いです。そういう人たちからのアドバイスはやっぱり質が高いので、教授以外からのレビューも結構参考になったりします。

大学も学長や教授のものというよりは、学生のものといった印象が強いです。自分たちで良い雰囲気を作っていこう、クリエイティブなものにしていこうといった空気を感じます。デモのお誘いとか、アトリエに勝手に冷蔵庫やソファを持ち込んで居心地の良い空間を作ったりとか。

うちの庭でフリマするから来て!』のポスターもよく貼られてます笑。

M:楽しいな、ワクワクしてきますね。教授との距離感はどんな感じですか。

Y:教授と学生の目線の高さで話し合えます。ドイツ語ではAugenhöheというんですが。

教授にもよりますが、相談の時間が一人ずつ30分くらい取られます。そこでは制作のこととか疑問点などなんでも話せます。

コースが終わるごとに、教授が学生にフィードバックを求めるんですけど彼らもかなりざっくばらんに言うんですよね笑

『ちょっと時間設定がきつすぎる』とか『教授はもっと私たちにやる気を出させるような指導法をとったほうがいい』とか。

M:結構バシバシ言う…

幾何学模様を組み合わせて、新しい形を作り印刷物(ポスターとか、版画とか)にする授業での作品。

Y:この幾何学の形はどういうコンテキストから引き出してきたのかも大事なポイントです。

例えば、政治家の演説をみて彼らのジェスチャーや手の動きから形を生み出した子もいました。

私は手書きにこだわりたかったので、百個以上の図形を筆で描きました。その図形の組み合わせでモチーフを作り、絶滅危惧動物をテーマに絵本を作りました。どういう流れで彼らが絶滅に至ったかを絵本にしました。これは二週間かけて作りましたね。

話の流れは読者に想像させる形で、絵のみで表現しました。

リソで紡がれるお話。

 

はい、今日で終わると思ったのですがあと一回ありそうです…

ハレの美大Die Burg Giebichenstein Kunsthochschule Halleは本当におすすめだぞ〜〜!!ってことは声を大にして言いたいですね。

一年生の頃に基礎課程をある程度するのは私の学校も一緒ではあったんですが、二年生でも様々なアート系含めたクラスも行けるなんてとても楽しそうです。

次回予告『大学での大変なこと、楽しいこと

それでは!

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ドイツの美大生にインタビュー ~コミュニケーションデザイン~” に5件のコメント

  1. お疲れ様です!
    とても参考になりました!
    ありがとうございます!

    1. ありがとうございます!
      一旦yukaさん編は今日で終了です。これからもよろしくお願いします☺️

  2. ドイツの美大では作品を作ったりする授業以外にどんな授業があるんですか?
    実践的なこと以外に教養としてどんなことが勉強できるのかおしえてほしいです!

    1. 哲学や美術史、デザイン史、フェミニズムや差別について、経済のことや高齢化社会のことなど様々です。

      第二外国語のクラスなどは私の大学ではありません。

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