ベルリンの冬の夜に迷子になるの巻

最近寒くて、マイナス3度なんて当たり前になってきたベルリン。

今年の冬はそんなに寒くないな〜と思っていた時に、やっぱりやってきた厳しい冬。

今日はそんな中、一番最初の語学学校で出会った二人の友達と遊んできました。

実に3年ぶりの再会です、一人は(以下彼の名をサンとする、特に深い意味はない)ドイツの他の都市にいるのでとっきどき会いはするのですが、もう一人はブラジルなので(以下彼女の名前をカティとする。)そうなかなか会えません。カティが一番この3人で会えたことを喜んでいたと思います。

 

大学を終えて私たちがまず集ったのは、韓国料理屋さん。ベルリンの人はみんな知っているリーズナブルで人気のお店です。(あえてここではどこか書かないけど)

韓国バーベキューをしますが、サムギョプサルかプルコギかの二択となりサンは明らかにサムギョプサルが食べたそうでしたけど、彼はもうすぐ韓国に一時帰国、そして好きなだけ韓国料理が食べられるということで私たちに決定権を譲ってくれました。

で結局プルコギ!

韓国料理はおかわり自由な前菜も嬉しいんだよな〜、一番好きなのはさつまいものやつと魚のすり身のやつ。

このレストランはいつも店員さんが忙しそうにしてるけど、サンがバリバリ韓国語で話しかけていくので心強い。

彼がいなければ、前菜のおかわりもガスコンロのガス欠もなかなか言い出せなかっただろう、というかすぐに対応してもらえなかっただろうな。(そんくらい店員さんの数少ない、客多すぎ)

カティに『ブログ書いてる」といったらGoogle翻訳して読むからURL教えて!!と言われ、変なこと書けないな〜と思いながらの執筆中です。

そしてお腹いっぱい食べた後は、カラオケへみんなで向かいます。

ベルリンにカラオケがあるなんて知らなかったし、自分がいくことになるとは。(デュッセルに日系カラオケがあるのは知ってる)

そのカラオケも韓国人が経営しているところだそうです。ベルリン来て驚くのは、韓国コミュニティの広さ、深さ(?)

カラオケについたらまず目に入ったのは小さなホールとステージ、ミラーボール。

おお….と声が漏れる私たち、異世界感。そして奥から聞こえてくる男の人が気持ちよく歌う声。奥にもまだ別の空間があるらしい。

そしてここで一抹の不安がよぎります、((個室あるよね….?))

個室ありました〜〜!!

個室に行くまでにまた二つ目のホールを抜ける必要があって、そこでは韓国人の若者たちがのびのびと歌っていました。

個室借りるのに1時間15ユーロ、入場料に3ユーロ、ドリンクも何かしら頼む必要があります。最大2時間いれます。

ホールでみんなと一緒に歌えば、入場料だけで済むのでかなり安くで楽しめそうです。

行ったのはNoka Korea

三人で行って一人12ユーロほど払いました。(ドリンクめちゃ高いな)

個室の中は日本のカラオケそのまんま!(2回しか行ったことないけど)

歌もKpopからJpopなど。スピッツとかレベッカとかあったけど、基本全て一昔前のJpopが揃う。平成の遺物って感じだったな(知らんけど)

韓国人のサン、ブラジル人のカティ、日本人の私が一緒に歌える(3人で歌うということが私たちにとっては重要だった)
歌というのは、自ずと英語の歌になってくる。しかしそこらへんにかなり疎い私。

『ほら、これ知ってる??』
『え、タイトルだけではなんとも…ちょっと歌ってみてくれん?』
『ふふふ〜ん♪ラララ〜♬』
『う〜ん….サビは?』
タララララ〜〜〜♪♬』

『ごめん、そこまで歌わせといてなんやけど、やっぱわからんわ』

というやりとりを永遠に続けるので、なかなか次の一曲が決まらない。そこまでして絶対3人一緒に歌いたいウチら。

『じゃあ、ビートルズ歌わん?(みんな知ってるだろ)』
『いや、ビートルズ嫌いなんだわ』
『あ、そうなんか(難しくなってまいりました〜)』

Let it goとかHelloとかをとにかくめちゃくちゃに大声で歌った。ドリンクはもうすでに来ているので、店員さんの突然の来訪もなく、私たちには怖いものなしだった。

結局三曲ばかり歌ったところで、いきなり『みなさん!!』と大声を出すサン。

『僕このままだと、帰りの高速バス乗り遅れるわ!!』

『ええ〜〜〜??!!』

そう、サンは今日の夜にベルリンを発つのだった。でも、それはもっと遅い時間ではなかったけ….?

『いやあと45分でバス出るわ、ごめん僕の勘違い』悪びれもせずにサラッと言うサン。多分焦りの方が大きかったから。

私はいつカラオケやめてもいいなっていう精神状態だったんで、ダメージ少なくて(ベルリン来てからいい意味でも悪い意味でも諦めやすくなった)ふつうに受け入れたんですけど、隣のカティ見るとめっちゃ残念そう。

『やっとエンジンかかってきたのにさ….しかもまだ私たち30分しか歌ってないよ』とカティ。

『え、ごめん。でももう出なきゃ間に合わない….』すでにジャケットを着始めているサン。

『ん〜、じゃあまだ時間あるし私とカティだけちょっと歌ってから出る?』と提案してみると

『え、サンお見送りしないの??』とジロリとカティ。(いや、どうすりゃいいの….)

結局みんなでカラオケボックス出て、走ってUbahnに向かったよね。

地下鉄に乗ってる間も、カティはしょんぼりしてしまって何も喋らない。

あと1時間でサンとはお別れしてしまうし、そのあとまたいつ会えるかも分からないんだもんね。会おうと思えば会える私とは違うよな、

サンも悲しげなカティに気づいて

『バス、3時のに変更しようか?それでもいいよ』と言い出す。

『え?なんで今言うの、もっと早く決めてればカラオケももっといれたじゃん』とそれはそれで揉めるうちら。

『う〜ん、もっとサンといれたら嬉しいけど、でも3時って遅すぎない?』とうつむいて声を絞り出すカティ。

サンは私を見やるが、私は『3時に変えれば?』とも『いや遅いから今帰った方がいい』とも言えず微笑むだけ。(カラオケ強制終了されてから、自分の意思を持つことを急にやめた私)

でもカティの様子を見てると、絶対帰って欲しくないんだなってのは誰にでもわかる。サンも

『んン〜じゃあ3時のバスにするよ』と決めかけると『ほんとうにいいの?サンの好きにしていいよ』と煮え切らないカティ。

そんなこんなで乗り換えすべき駅に着いてしまった、そこで『みなさん!!』とサン。

『やっぱり、今帰るよ、キャンセル料も払わなきゃだし』

結局〜〜〜

隣のカティの顔は見れないけれど、もう時間がないので何かリアクションすることもなく急いで電車から降りる。

階段を上って外に出ると、はなの頭が凍るような寒さ。粉雪も舞いはじめていた。『で?次何乗るん?』

後ろのサンを振り返るとスマホを見たまま固まっている。ん、なんかあったな、だいたい予想つくけど。

ぽかんとした顔をあげて『降りる場所間違えた….』と言うサン。嬉しそうな顔を隠しきれないカティ。無表情無感情の私。

『あぁ…そうなんか…また地下鉄乗り直す?』

『Googlemapによると、いくら今から頑張っても間に合いそうにない….』

『と言うことは??』促すカティ。

『3時のバスに変更しま〜〜す!!』

結局ね!!でももうそこまでいくとみんなで軽く拍手して、そして私もなんだかんだサンともう少しいれるので嬉しかった。

一旦私のうちに来て時間つぶそうか、となって(カフェとかクラブとかいく金がもうすでに三人ともなかった)

とまた地下鉄に乗り換える。ここから私がGooglemapで道案内する流れとなる。『この駅で降りればいいのね』と確認してからスマホをポケットにしまう。

3人でおしゃべりしながらだらだらとしていると、次が最後の駅だと運転手のアナウンスが入った。『え?もう終点?』

降りる駅乗り過ごしたのかと焦るが、サンは『きっとなんか問題があってこの駅で降りなきゃいけないんだよ』と言う。

よく地下鉄ではトラブルがあって途中で降ろされる、ってことがあるんだけど、今回はどっちか正直わかんなかった。

どっちでもいいや、疲れた、こっからどう帰ればいいんかなとぼんやりした頭で考える。

Google先生はバスに乗れと言う。バス乗り換え嫌いなんだよな、めっちゃ分かりにくいから。

案の定、ここだろうと思った停留場は間違いでMapガン見しながら進んだら正しいバス停を見つけた。

あと20分で来るらしい。すでに外気はマイナス5度、あんまり寒いのでバスを見つけた時は3人で小躍りした。ぴょんぴょん跳ねる私たちをサンは『バスが来たよ〜〜!』と言いながらムービーを撮っていた。

乗り込んで、二人席に座ろうとしたら『みんなで座ろうよ』とカティに促され四人席に移動する。

サンが『いい思い出ができたね』と言う。『君たちは僕のベストフレンドだよ』と続けるが、これまですでにロシア人のベストフレンド、オーストリア人のベストフレンドの話を聞いていたので私とカティは思わず笑ってしまった。

『ベストフレンドって何人もいるもんなの?その中でもランキングとかあるの?』とカティが言うと、一瞬考え込んで『僕の友達は皆ベストフレンドなんだよ』とサンは答える。ベストフレンド、とか言ったこともないな、私。マブダチ、はあるけど。

 

道の途中、三人が出会った語学学校の前を通りすぎる。『あ、ここだここだ』と指差す。あの時はあそこだけが私の世界で、毎朝つまんない顔して行ってた。今の方が楽しいのはきっと幸せなことだな。

ある日サンからお昼ご飯食べよう、と言われて、そばにいた話したこともないブラジル人の女の子もなんとなく誘ってみたのがきっかけ。
正直その時はサンと二人だけっていうのに気が引けて、誰でもよかったから連れて行きたかったのだ。でもそれからは3人でマーケット行ったり、湖までピクニックしに行ったりした。
カティがブラジルに帰ってからも『18歳と19歳のチーム』って名前をつけたグールプチャットで時々テレビ電話をしたりした。みんなが歳をとれば『19歳と20歳のチーム』になった。

 

家についた、キッチンでお茶を飲む。サンは眠くなるといけないから、と何も口にしなかった。

と思ったら『mimi、トマト食べていい?』と机の上の生のトマトを指差す。

『え?ほんとにいいの?このまま食べるの?』と思わず聞いてしまった。りんごとかならわかるけど、そのままトマトにかぶりつく姿を想像したら(寒そうだな)と思った。

サンはトマトを食べなかった。ヘタのところがカビていたからだ。

『で、二人は来年の冬にブラジルに来るんだよね』とカティ。いつかのテレビ電話の時にサンが約束したのだ、私はそんなに先のことはまだ分からなかったのでテキトーに返事をしたことを覚えている。

『ごめん、やっぱり無理だ、きっとそのころはもっと忙しくなっていると思うし、』とサン。思ってても今言わなくていいじゃん、彼はホントに正直だ。

『え、約束したじゃん、私だって忙しい中来たんだよ。』とカティ、がっかりしすぎて少し怒ってさえ見える。

『カティはいつも忙しい、忙しいと言うけど、自分ばかり大変だと思っちゃダメだよ』とサン。それは私も自戒しようとひっそり思う。

確かにカティの大学は本当に忙しそうで、教授も平気で『お前はまじで出来が悪いな、点数もあげたくない』とか言ってくるらしい。正直そんなに厳しいところだとは思っていなかった。私より断然きついと思うので、彼女が大学が忙しい、と言う時は特に反発もなく(大変やね〜)と思いながら聞いていた。

でもサンは音大生で常に練習に追われる日々を送っている、カティの『ドイツの学生になりたい、そっちの方が楽だもん』と言う発言にはカチンと来たようだ。ほぼずっと黙っていた私にサンが『mimi、君も芸大生だから僕らどっちもきついよね、わかるよ』と忙しさ合戦に私を巻き込もうとしてくる。

そして最後に『あと、僕はブラジルに行くならmimiといく。行くなら、絶対二人でいく。』と、言った。

私も『うん、一人で行くことはないかな』と初めて口を開いた。前に他のブラジル人の女の子が、『ブラジルには絶対に一人では来ちゃダメ!』となんども言って来たので、現地の子が言うならガチなんだろうなと思っていたのだ。

カティは『え?なんで一人で来ないの』ときく、(危険だと言われたから)とも言えずに

『お母さんが許さないかな』と誤魔化す、『私だって、一人でブラジルからドイツ来てんのに?』とカティ。あ、火種はこっちに回って来たようだ、と思っていたらサンが

僕には僕のお母さん、カティにはカティのお母さん、Mimiにはmimiのお母さん』と少し大きめの声で締めに入った。

 

三人で会うのは本当にいつか分からなくなって来た、カティは怒っていたけどそれくらい私たちをベストフレンドだと思ってくれているということだ、と嬉しく思うにはその時の私は少し疲れすぎていた。

そのあとなんだかんだ恋愛の話になった、サンは『僕は今年多分彼女ができると思うよ』と笑った。

そしてカティと私に向かってユングフラウか聞いて来た、しつこいくらいに。

笑う私たちに『僕はこういう話は今ままで避けて来たけど、こんなこと当たり前の話題だし、別に普通のことだと思うんだ』と大真面目の顔で言うサン。さっきは友達から送られて来た画像を私たちに見られてあんなに焦ってたくせに。

 

サンが出て行くとき、3人でハグをした。いつもカティはほんとにぎゅっとハグをする、そしてなかなか離さない。喋ってる時は結構クールな彼女なんだけど、この時はカティからの愛をたくさん感じるのだ。

サンが階段を降りて行くまで私は玄関から見ていたけど、カティは三人で抱き合った場所から動かずに少し泣いていた。

『もう寝ようか』

カティはソファで2時間ほど寝て、また家に帰って行った。
ぼんやりした彼女を見送って私はまたベットに戻った。

 

 

もしかしたら『いい物語ができたね』とサンはあの時言っていたのかもしれないな、

 

 

おやすみ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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