Sabaku Toursに参加するの巻 2

翌日は朝の8時に出発です。

私と妹は起きれずに、朝ごはんは食べずに宿を後にしました。

そのまま砂漠に行くかと思いきや、まだ他のところに立ち寄るらしい。

着いたのは桃とアーモンドの庭園。

品種改良して、タネはアーモンド、実はももの果物を作って栽培しているそう。

とても良い香りがしそう。

アルガンオイルも作っているそうです。

畑の間を縫うように進んで行くので、歩きやすい靴履いてると便利だな

と思いました。

私、モロッコではかなりサバイバルな生活になるんじゃないかと思って

高校生のころに陸上部で使ってたシューズ履いて来たんですけど、

そこまでは必要なかったですね….。

いくらおしゃれしても足元をふと見たら、蛍光ブルーが光る運動靴!って感じで

気分が沈んでたので

最後らへんはビーサンで観光してました。

でもビーサンで指の靴擦れ起こして、結局泣く泣くシューズに履き替えてました。

でも、この小石転がる、常に用水路が傍を流れるこの場所ではかなり心強い

相方となりました、私のスポーツシューズ。

ベルベル人のおじさんガイドの覚えてる日本語が絶妙だった。

チョット ツカレタ?

とか

クルクルパーとか。

林の中をくぐりぬけ、少しひらけた場所に出ました。

そこで先頭を歩いていたガイドさんがくるりと振り返り、

みんなはマリファナ吸ったことある?』と聞いて来ました。

走る緊張感、そして皆顔を見合わせるだけで何も言おうとしない。

冗談なのか、よくわからんし、今からみんなでここでChillタイムなんかな?

っと思っていたら

ニコニコしながらおじさんが「これ嗅げ」と何かを鼻に近づけて来ます。

ハハ〜ン

ミントやん。

ミントでした。みんなチョットホットしながらミントの香りを楽しみます。

でもさ。人里離れた、アフリカの畑とかで言う冗談としては、少しギリギリの線を行ってると思うんだよな。

昼ごはんも食べました、めちゃくっちゃ美味しかったです!!

もしかしたら、モロッコで食べたものの中で一番美味しいレストランだったかもしれない。

ここでも、モロッコサラダとタジンと、オレンジジュースとヨーグルト食べました。

そして、すっごく日差しが強くて暑すぎた。

目が開けられなくて、食事に影響を及ぼすほど。

運動会の練習では、砂のグラウンドが日光を反射して

いつも目まで焼けてたんですけど、もうその3倍くらいは眩しかった。

サングラス持って来とけばよかったな〜っと後悔。

そしてこれじゃ、砂漠ってもっと暑いんでね?スカーフやっぱり必需品でね?

と心配になってくる友達と私。

隣の妹を見ると、何も考えていない顔を…っと、おや?

むしろ何か思いつめた表情をしているぞ。

『チョット ツカレタ…』

トドラも見ました。 ロバが気味悪い声で鳴いてた。
山も登った。男の子が草で編んだ飾りを売っていた。

ベルベル人の絨毯屋さんにも行った。

最初にミントティーが振舞われる。

どんどん広げられて行くカラフルな絨毯。だれも買わず。

おじさんがセールストークする隣でひたすら無言で糸を紡ぐ女性。

おじさんは『日本人の目は韓国人より小さい』とかいうので

(はい、おじさんざんね〜ん、このツアー客ほとんどジャパニーズなんだわ。)

と試合終了のお知らせ。

やっぱりずっと不信感があるので、微妙な緊張感が漂う室内。

結局誰も何も買わずに、無事に外に出ることができました。

砂漠までの道のりはまだまだ先。

ひたすら向かう、メルズーガ(Merzouga)へ。

道中、スマホをガードします。

砂漠のすなはかなり細かいので、
カメラやスマホを故障させる可能性もあると聞いたからです。

でもラップとかビニール袋で巻くのはめんどくさかったので。

マスキングテープで電源ボタンとか、イヤホンの穴とかを塞ぎました。

そんなこんなでメルーズガに到着。

ここではリュックにテントで一泊するのに要るものをスーツケースから移したり

水を買ったり(テントに水は無い。歯磨きとか手洗いもペットボトルの水を使う)しました。

ここでもミントティーと塩ピーナッツが出されました。

日も暮れて来た頃に出発の合図。

妹と二人乗りです。

座ってるラクダにまたがるんですが、

彼(彼女)がグランっと起き上がる時に 思わず小さく叫んでしまいました。

体が一回90度前傾し、後ろに座る妹の全体重が背中に一気にかかるもんですから

そりゃもう命がけでラクダにすがりつきますよね。

(正確にいうと、ラクダ本体に、というよりラクダにつけられた手すりを掴んだ)

私と妹は結構早くに乗せられてしまったので、

他の人たちを乗せたラクダ達が順々に立ち上がって行くのを

ぼーっと眺めていました。

あちこちで湧く悲鳴と歓声を聞きながら。

12頭ほどのラクダを一列に引き連れて、砂漠を渡っていきます。

砂漠に映る影とか、『っぽい』ですよね

最初の方はラクダに落とされないように必死で、正直砂漠の景色を楽しむ余裕は
ゼロでした。

小学生の頃に参加した、乗馬体験コースで

私だけポニーに振り落とされたことがあるので

身をもって『人は落馬する』ってことを知っているのでさらにドキドキしてた。

ぐらぐら揺れるラクダの上で、(これ、そもそも台座とかズレて落ちたら嫌だな〜)とかぼんやり考えていると

後ろの妹が何やら叫んでいる。

『もう、このばか!!離してよ!!』

何ごと、と振り返ると、どうやら後ろのラクダが妹の

腰に巻いたジャンパーをずっとハムハムしているらしい。

妹は体調も悪いのも合間ってかなりの不機嫌になり、3ヶ国語くらい使って
ラクダに罵詈雑言を浴びせていた。

もちろん何語を使ってもラクダには通じないわけで、彼はずっとジャンパーを

噛んでいる。よだれを垂らしながら、虚ろな目で。

私は正直笑ってしまった。

妹はかなり真剣で、ジャンパーを引っ張ったりしていたけど

ラクダの口が開くことはなかった。

ジャンパーハムハムラクダには、友達がのっていたんだけど

友達も『こらこら〜ジャンパー離せ〜』と自分のラクダに軽く話しかけるだけで

この状況を面白がっていることは伝わって来た。

どうにもならないってことが分かっていたから。

いっとき乗っているとだんだんコツが掴めてきて、最初は写真なんて撮れるかい!と思っていたんだけれど、途中からちまちまと撮り始めた。

スマホ落とさないか、ヒヤヒヤものだった。

あらかじめ、スマホはマスキングテープとか貼って砂対策したけど、

多分砂の中に落とさないかぎり、壊れることは無いと思う。

黄砂のひどい時の故郷の方が、霞んでいたように思えるくらい

砂漠はすっきりとした空気をもっていた。

ラクダの揺れにも慣れて、やっと落ち着いて自分の周りの景色を見渡す。

目の前には広大で静かなピンク色の砂漠。

砂丘にうつる、連なるラクダと人間の揺れる影。

写真でしか見たことのなかった、あの世界を今この瞬間ポクポクと

渡っているわけですがなんだろ、うわ、あの、その〜

ほ〜〜ん

ってかんじでぼんやりと砂丘を眺めてしまうのですね。

砂漠行く前は、

『広すぎる砂漠に孤独を感じたり、自分のちっぽけな存在に愕然としたりするのだろうか!』

とか

『今まで全く見たこともない感じたこともない世界に、価値観も変わってしまったりするのだろうか!』

とか

色々妄想を膨らませていたわけですが。

いざ、本物の砂漠を前にしてでた感情は

ほ〜〜ん

だけでしたね。我ながら情けない。いや、よくやった(?)

すごく大きな箱に砂を入れて、テキトーに小山作って

そこを私たちはえっちらおっちらラクダで歩いて、『わー楽しい』

ってやってるみたいに感じたのです。

セットの中を歩いているみたい、というか。

そこに砂丘あるけれど、それを超えてあと500メートルくらい行けば白い壁が見えてくるんじゃないか

みたいな。

ガイドさんの完璧な道案内と、大人数での移動という絶対的な安心感が私にそう感じさせたのかも。

友達は、『きっと砂漠に一人、不時着でもしない限り、圧倒的な孤独みたいなのは感じないんだろ』と言ってました。

その時はふーんと聞き流してましたが、

今気づいた、もしかして星の王子様のこと言ってたのか?

『あっ』と妹の声。

ラクダくんは妹のジャンパーを解放したみたい。

もう絶対にハムハムされないように、と妹は

噛まれていたジャンパーの端っこを私と自分の体の間に

ぎゅっと挟み込みました。

じんわりと沁みて暖かい私の背中。

ちょっと眠くなってきたので、ここら辺で砂漠のことは

一旦終わりたいと思います。

次は、ベルベル人のテントについてからの夜について書いて行きます。

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