モロッコの港町、エッサウィラ。
「世界中からアーティストが集まる町なんだって」「リゾート地として、モロッコ人からも人気らしいよ」友達は、エッサウィラに対して並々ならぬ期待を抱いていた。
それを横目に、マラケシュですっかり疲弊していた私は「へぇ〜」と生返事を繰り返すだけだった。
朝8時45分のバスに間に合うように、リヤドのお兄さんにピックアップサービスをお願いした。
「バス乗り場まで」と伝えていたはずが、運転手が間違えて空港に向かう。
一瞬ひやりとする私たち。(間に合うのか…?!ここまで典型的なトラブル初めてだ!)
ガチギレはしないものの、明らかに気まずくなった空気を流石に察して
努めて明るく(中国人を砂漠に連れて行った話)をする運転手のおじちゃん。
「もう砂漠は行ったんですわ〜」と笑いながらも、(いいから前を向いて運転してくれ!!)と念じる私。
バス停には無事についた!!(チップあげるかで友達ともめた藁)(あげた)
スーツケースはバスに乗る前に預け、(確か1dhくらい払った)いざ出発!
砂漠帰りですかってくらいに埃っぽい車内だったが、Flixbus乗りこなしてる身としては許容範囲内です。(嘘です、Flixbusごめん)
(背筋を浮かして座ってたらしいです、当時の日記読むと。)
一回休憩を挟んで、合計三時間の移動でした。
休憩の時は、車掌さんが英語で「30分〜30分〜」っていいながら車内を前から後ろまで歩いて伝えてくれます。(Flixbusより断然親切、これだけでCTM推せる)
エッサウィラについたら早速、私たちの泊まるJack’s apartmentへ鍵をもらいに行く。
ここがモロッコで泊まった場所で一番よかったところかもしれない!常に外感のあった今までのリヤドと違って、確かに室内にいるという安心感があった。壁のあちこちに何かしらの英文が貼られているのも(おもしろ)ポイント。
屋上テラスに通されて、ミントティーとクッキーをつまむ。
もしかして、ここがエッサウィラでもっとも眺めがいいんでは….と思うくらい。着いてすぐに「動きたくない…」となった。
すぐそばの波の音を聞きながらモロッコ来て一番の幸せな気持ちになった。(いや、砂漠で星空眺めたときが一番かな)
この日はずっと街全体を霧が包み込んでいた。潮風にあたって、ベタベタになっていく髪の毛。
エッサウィラは人が少なく、街も歩きやすい。
マラケシュで荒んだ気持ちをエッサウィラが癒していくのを感じながら、夕焼けまで街を歩く。
ムハンマド・ザルクトゥーニ通りを抜けて、どんどん進みます。
ここでは話しかけてくる人も少なく、もしいたとしても本当に好奇心から、といった感じだった。
一通り町巡りが終わったな、というところで港に戻る。
カモメのフンだらけの地べたに座って夕焼けを眺める。動くたびにじっとり湿ったズボンが脚にひたりとついてくる。(砂漠に行ったときよりも汚れた)
でも体からこのエッサウィラという街に馴染んでいっているようで心地よい。なめされて行く皮の気持ち(なったことないけど)
露天のクレープ屋さんで。お腹を壊した、といった情報もあったが((ええいままよ))、とかぶりつく。いちごたっぷり入ってて、クレープ焼いてるお兄さんもお金にがっついてない感じでよかった。
魚を投げるひとたち、魚の腹と猫の目がひかる。
夕ご飯は、図らずもすごく上品なモロッコレストランに迷い込み。
ウエイターさんの接待がとてもプロフェッショナルで、こちらも背筋が伸びるようだった。友達がフランス語で注文すれば、フランス語で返してくれる。
ちょっとすました感じでいたら、「不機嫌で疲れてる」と妹に言われた。慣れないことはするものでない。
真夜中に、テラスに抜け出してカップラーメンを食べた。
これはほんとは砂漠で食べるつもりだったんだけど。(砂漠で火をたいてお湯を沸かす勇気が足らんかったのです)
真っ暗の海を眺めながらカップラーメンをすする。残念ながら、これがモロッコでの最初で最後の一番美味しかったものだ。(ちょいウソ)
でもめちゃくちゃ美味しかった、この日を境に私はカップラーメンにどこか畏怖の念を持つようになる。(そしてBIGサイズが普通に思える病にかかる)
「もうちょっと残る」という友達をテラスに置いて、私は部屋に戻った。
真っ黒な海に友達が飲み込まれてしまうんじゃないかと怖くなって振り返ったら、すでに彼は闇に溶けて見えなくなっていた。
正直、アーティストのまちだとは全く思わなかったけれど、一泊では勿体無いくらいの魅力的な街だった。またモロッコにくることがあれば、ここに一週間くらい滞在したいと思う。
それでは、おやすみなさい。