真夜中のファミレスでパフェを食べる

私の街は田舎なので、深夜0時を回るとファミレスしか開いていない。

ある日やって来る、どうしてもお腹が空いて仕方ない真っ暗な寂しい夜。

玄関に出て、扉を開ければまっすぐ先にファミレスの明るい窓が見える。

それは、くらい夜に光の四角を保ってじっとしている。輪郭がふるふると震えて、私はいっときそれを眺める。

車もいないので、私は家を出たらそのまま直線でファミレスに向かう。

ファミレスではいつも、いちごのパフェを食べる。

ここに来るときは、淋しい気持ちの時なので。赤くて味のしないいちごと、パサパサでいつまでも口に残る生クリームは私をホっとさせる。これで780円でいいなんてさ。

ある人は、「安いチェーン店に行ったときは、あえて一番安いのを頼む。ちょっと高いの頼んだりしてさ、『美味しいね』って目を丸くするのも癪だから。安くてまずいの食べて、まずいねっていう方がいい」と言った。

いちごのパフェは最後はコンフレークばっかりになっちゃって、いつも最後は口が痛くなってしまうんだけど、今回はバニラアイスクリームを溶かしながら食べたのでふやふやのコーンフレークが食べられた。

(しかし、柔らかいコーンフレークはダンボールの味がする)

今日は私一人だけかと思ったら、店の隅の方で、寝れない女と布団売りが何やら話し込んでいる。女はカモミールティーを、布団売りはコーラを飲んでいる。

「私の布団は、ある寒い島にすむ鳥の羽から作っているんです。卵を孵化させるための羽だから、ほんとうにアッタカイのです。」

寝れない女は目の下に深いクマを飼っていた。布団売りの話に目をうっとりさせ、

「ふわふわの羽毛に包まれて、私はその島の小鳥になるのですね」と呟いた。

「でも、高いんでしょう?」女のクマは一層暗くなって、布団売りを見つめた。

布団売りはすぐには答えず、「あなたの好きな食べ物はなんですか」と女に聞く。

「うなぎです。」

「いちごのパフェです!!!」と私は叫んだ。

布団売りは私の声が聞こえないようで、構わずに喋り続けた。私は、自分が水槽の中から二人を眺めているように感じた。

「うなぎは高いですよね、食べられたとしても月一回。でも布団なら毎日使うでしょう。だったらちょっとくらいは高いお金払ってもいいんではないですか。」

結局最後まで布団売りは布団の値段を言わなかった。

しばらく二人は話続け、それから出て行った。女は私の机のそばを通り過ぎるさい「いちごのパフェ美味しいよね」と言った。

彼女がいつか暖かい布団の中でぐっすり眠れたらいいなと思った。

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